| 第8号 (10月28日発行) |
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★ ゴミをめぐる思考 またまたご無沙汰してしまいました。どうもすみません。2ヶ月以上も発行していなかったので言い訳にはなりませんが、1ヶ月ほど家を留守にしていました。イギリス経由で日本に帰っていたためです。 さて、その日本で最も印象に残ったのがゴミである。日本では実家のある東京都下に滞在していたが、ここではちょうど10月1日よりゴミの分別が強化されたところだった。燃えるゴミと燃えないゴミ用の袋を市役所から買う。つまり、ゴミが少なければ少ないほど支払う税金は少なくなるので、これがインセンティブとして働くわけだ。このほかに、再利用できるプラスチックと紙製品とに分ける。これは金を出して回収してもらう必要はない。しかし、きれいに洗うのが鉄則である。汚れたプラスチックや紙は単なる燃えないゴミと燃えるゴミにしかならないのだそうだ。 もちろん、日本人のわたしはこの厳しい規則に従った。滞在10日目には、スーパーで商品を手に取ると、まずどの部分が再利用できるプラスチックで、どの部分が再利用可能の雑紙かを考えるようになるまでに至った。同じ日本人でも日本に住むわたしの友人はこの規則をすっかり誤解している。ヨーグルトの容器はふた・容器・ラベルと切り離した後、きれいに洗い、ふたは再利用できる紙に、容器とラベルは再利用できるプラスチックとして分ける。これを彼女はまるごと再利用できるプラスチックとして分別していた。全体でパーセンテージの大きいほうに分別するべきだと思っていたのだそうだ。(この場合、彼女の理論では容器全部が再利用可能プラスチックになる。)中にはアバウトな日本人もいる。 イギリスでもスペインでもゴミの分別はしない。スペインはどうなのかわからないが、イギリスではゴミはすべて埋め立てられる。燃やさないから燃えるゴミも燃えないゴミも変わらないわけである。週に一度家の外にゴミを出しておくと、(わたしがかつて住んでいたビーン村では、底に車のついた大きなプラスチックのゴミ箱を市が各戸に貸してくれていた。)回収に来てくれる。このほかに、市内に2〜3箇所ゴミ処理場があり、大きなゴミや週に一度の回収では間に合わない分をここに持っていくことができる。さらに、スーパーやパブの駐車場には「リサイクル・プラント」と呼ばれる場所が設けられているところがある。ここには、瓶・缶・本や雑誌・衣類など種類別リサイクル用の大きなゴミ箱がおかれている。つまり、やりたい人は自由にリサイクルしてください、その気のない人はすべてのゴミをいっしょくたに出してくれれば結構です、という姿勢である。リサイクルに対する強制はもちろん、奨励のようなものすらなかった。 これはスペインでも同様である。もっともペドロランドではゴミ箱は入り口付近に大きなものが3個あり、これを約200軒で共同使用する。でも、ゴミの収集は土曜日を除く毎日行われる。これは賞賛に値するだろう。ペドロランドではゴミの収集は夜行われる。ペドロランド住民規則によると、夜8時以前のゴミ出しは禁止である。(もちろん無視する人は多い。)そのほかの地区でも、ゴミ出しは夜8時〜11時の間となっているところが多い。これは気温が高いため、あまり早くゴミを出されると腐臭でゴミ箱近辺の住民が迷惑するからである。ゴミの収集が夜行われるのは、昼間と比較して気温が低いため、ゴミ収集人たちにとって働きやすいからと思われる。しかし、寝静まった真夜中、バーからの帰りに「ゴォー」という音がどこからともなく聞こえてくるのは最初の頃は実に不気味であった。正体がわかれば何ということはない。 スペインでは、庭のゴミだけは別に収集される。植物だけは別に収集するところを見ると、どこかで堆肥にでもされているのだろうか。(でも、スペイン人は常識では計り知れないところがあるので予断は許されない。)もちろんほかのゴミと一緒に出してもよいが、どうしてもかさばるので別に出す人が多い。やしの葉やブーゲンビリアの枝などが山のようにゴミ箱の横に積まれているのをよく見かける。気候が暖かいので植物の成長が速い。まめに剪定しないと庭はジャングルのようになってしまう。もっとも、こちらのゴミのほうは収集は毎日ではないので、どうしてもたまりがちだ。スペインでもやはり、リサイクル用の分別ゴミ箱はスーパーの駐車場やバーの近辺によく見られる。 日本式のゴミ分別はイギリスやスペインでもうまく行くだろうか?わたしは、これは日本人だからこそうまく行くシステムだと思う。イギリス人だったら、ルールを押し付けられることに対する抵抗からシステム導入に対する反対は大きいだろうし、スペイン人はきっと分別ルールなんてものには頓着しないだろうから、結局は燃えるゴミも燃えないゴミも一緒くたになるのがおちである。個々人の分別責任が信頼できなければこのシステムは機能しない。 こういった国民性はEU(欧州連合)の運営にもよく表れている。ドイツ人は規則を作るのが好きだ。意地の悪い見方をすると、それによって他人をコントロールするのが好きだとも思われる。しかし、規則を作った以上は他人をそれに従わせるだけでなく、自分でもきちんと守る。イギリス人は自分が規則に縛られるのが嫌いであるから、最初からなるべく規則は作らない。欧州連合の規則の中でも、イギリスがオプトアウト(不参加)を決定した項目は少なくない。一方、スペインやイタリアはとりあえず規則には参加しておく。守れるか守れないかはまた別の話だ。やってみてだめだったら、それはその時考えればよい。(たぶん何もしないだろうけど。) このように異なった国民性が入り混じった欧州連合の縮図がペドロランドであるということもできる。 ★ ちょっと関係ないけれど・・・ 1ヶ月も留守にするとペドロランド付近もかなり変わっているのではないかと思っていたが、思ったより変化は少なかった。一夜にしていろいろなものが出現したり姿を消したりするのがスペインだが、同時に1年半経っても電話が入らないのもスペインである。こちらのほうを忘れていた。 スペインを経つ前に、ちょっとしたクーデタがペドロランドで起こりかけた。ある住民が臨時住民総会を召集したのである。(この住民はカールハインツであるという噂だ。)しかし、その後すぐに管理会社から「住民管理組合会長不在時に開かれる住民総会は法的に無効である」という通知が来た。結局、参加した住民はいなかったようである。 というわけでこのところは静かなペドロランドだ。しかし、相変わらず盗難は多い。わたしたちの留守の間にも2軒に、一昨日も向かいのオランダ人夫婦・ヤンとティーニの家に泥棒が入った。ヤンはオランダで教師をしている。そのため、ペドロランドの家には1年に1度か2度、2週間ちょっとやってくるだけである。質素・倹約を絵に描いたような夫婦だ。我が家の隣に住む、同じくオランダ人のアリーとトーシュによると、ヤンとティーニの家の中は30年前にオランダで流行った茶色の家具ばかりだということである。庭用のテーブルや椅子も折り畳み式だ。彼らの家は別荘と言うよりは、キャンプ場のキャラバンという感じである。ちょうどその前日、アリーとトーシュが「窓やドアを開け放しにして寝るのは危ないよ」と注意したばかりだということであった。ヤンとティーニは何も盗まれるようなものはないから大丈夫だと笑って答えたという。実際、泥棒は何も取っていかなかった。現金は肌身離さず持っていたし、ほかに金目のものもなかったらしい。玄関や車などの鍵の束を見つけたらしいが、それは家の外に捨てられていた。外に出た後、庭に停まっている車を見て、盗むのを止めたのかもしれない。ダイハツ・グランムーブってそんなに悪い車じゃないと思うんだけど。 |