| 第21号 (8月31日発行) |
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★ 変わりゆくペドロランド
たいへんご無沙汰いたしました。配信元のまぐまぐさんによると、最後に発行したのは6ヶ月前だそうです。今月中に発行しないと廃刊にするということなので、あわてて何か発信することにした次第です。そんなわけで、いろいろとあたためていた話題はあるのですが、短期間でまとめるのが難しいので、今回はとりあえず、近況報告をさせていただきたいと思います。 今年の夏もまたイギリスに来ている。長期予報では、今年の夏は猛暑だということだったが、イギリスに限ってはこれは大はずれ。7月7日にイギリスに到着し、その後1週間は30度を超えるほどの暑さが続いたが、それからはぱっとしない天気とまあまあの天気とが交互にやって来ていてる。なんと今週は、3連休だったにもかかわらず(通常8月最後の連休は天気が崩れ、どんなに暑い夏でも、このときまでには秋の天気になっている)、土曜日がいまいちだったもの、日曜日から遅い夏がやってきたかのような晴天で、気温も25〜27度と心地よい。 一方スペインのほうは猛暑で、アンダルシア地方で気温が46度にも上がったという話も聞いた。あまりに暑くて旅行を切り上げて早めに帰ってきたイギリス人もいると言う。ペドロランドの友人からも電話があったが、42度ということだった。やっぱりイギリスに避暑に来てよかった。 イギリスは、この2〜3年海外移住ブームである。昼間テレビをつけると、海外(だいたいフランス・スペイン・イタリアなのだが)に不動産を買うという番組が多い。その背景は、イギリスの住宅市場高騰のため、イギリス国内には(よっぽどの田舎でない限り)もうお買い得の不動産は残っていないことである。自分の家を売れば高い値が付くが、イギリス国内で新しく家を買うとなると、かなりの金額を出さないといけない。その点、自分の家を売って、それで海外に家を買えば、お釣りが来る上に、広い庭付きの大きな一戸建てが買えるというわけである。最近は、海外旅行をする人も多く、外国との心理的距離はずいぶんとせばまった。 そんな番組を見ていて、最近うちの夫が夢中になっているのが、フランスの田舎の家である。インターネットで物色しているのだが、その検索のカテゴリに「庭」というのがある。「大きな庭」と「小さな庭」に分かれているのだが、小さな庭の定義が1千平米以下なのだ。3千平米の庭付きの3〜4寝室付きの一戸建ての家が1,700万円程度で手に入る。庭の中を小川が流れていたり、湖があったり、とにかく隣の家の声が聞こえないというのが夫にとって最大の魅力のようである。 わたしはペドロランドに結構満足しているのだが、夫の最大の不満は、裏のスペイン人一家である。世帯主のアンヘルは物静かで、どちらかというと寡黙な人なのだが、その奥さん(近所の誰も名前を知らない。それくらい非社交的な人である)がものすごいうるさいのである。おしゃべりというよりは、とにかく声のボリュームが大きいのだ、もともと、スペイン人というのはあまり物静かな民族ではない。お互い2歩ずつ歩み寄れば普通の音量で話せるときでも、わざわざ2メートル離れて、どなりあうほうを好む人たちである。 この奥さんに事実上育てられている孫息子のディエゴがまたうるさい。たぶん赤ん坊の頃から大声で叫ばれているので、難聴になっているのだろう。幸い、スペイン人の常で朝はあまり早くない。少なくとも午後10時くらいまでは静かに過ごせる。が、朝からディエゴの機嫌が悪いときには、午前8時からたいへんな騒ぎで、迷惑この上ない。というわけで、我が家では、夏どんなに暑くても裏の窓は開けられないのである。 イギリスのトレーラーハウスもあまり静かなところではない。本来なら田舎の閑静なキャラバン場のはずなのだが、去年近くに設置されたトレーラーハウスの住民たちがみな犬を飼っているのだ。これがうるさい。一匹が吠え出すと、一斉に合唱となる。イギリスでは犬小屋は持たず、家の中で犬を飼う人が多い。この人たちも例外ではないのだが、狭いトレーラーハウスの中で犬を飼うのは(小型犬ならともかく、大型犬は)、犬も窮屈だし、飼い主も息が詰まるのではないだろうか。昼間はフェンスで囲まれた小さな庭に犬を出している家が多い。誰かが前を通るたびに吠える。雨が降っているときにはさすがに犬を外には出さないので、雨降りの日だけは犬の吠え声から解放される。恵みの雨である。 というわけで、来年の今頃はこのメルマガも「不思議のペドロランド」改題「不思議のピエールランド」となっているかもしれない。 ペドロランドも最近国籍分布図がずいぶんと変わってきた。以前はドイツ人が40パーセント以上を占めていたが、ドイツ人が家を売ると、その後にイギリス人かアイルランド人が入居するというパターンが最近続いて、ドイツ人の割合は急減した。 ドイツ人がスペインから撤退している理由はいくつかある。ユーロ導入前に、タンス貯金をしていたドイツ人たちが税務署にこの金を知られたくなかったがために、駆け込みでスペインの不動産を買うというケースが多かった。が、その後、ドイツとスペインとの間で新しい税制上の取り決めができて、ドイツ人が所有するスペイン国内の資産はすべてドイツの税務署に報告されるようになった。これでスペイン国内に不動産を持つことの税的なメリットがなくなったわけである。また、スペインでの生活についても、かつてドイツ・マルクが強かった時代に比較すると、あまり物価の安さというのがドイツ人には感じられなくなったようである。加えて、ドイツ国内の経済成長の低さもあいまって、スペインの別荘を売るドイツ人が増えてきたわけだ。 一方、金持ちのアイルランド人が最近目立ってきた。ユーロ加入はアイルランド国民にとっては、有利に働いたようである。ユーロ導入をきっかけに、事業で成功し、スペインに別荘を買ったというアイルランド人の話をよく聞く。 イギリス人の場合はまたちょっと違う。折からの海外移住ブームもあって、最近は幼い子供のいる若い夫婦や、働き盛りの年齢の夫婦がイギリスの家を売り払って、引っ越してくるケースが最近多い。以前はスペインに住むイギリス人といえば、悠々自適の引退生活を楽しむ人たちが多かったが、最近のイギリス人移民はスペインで働かずには生活できないような人が少なくない。しかも、多くはイギリスにいても技術を持っていないため、たいした職につけない、同じたいした職でなければ、天気のいいスペインで働いたほうがましという人である。貧すれば鈍すというように、生活にゆとりのない人たちはまた品性に落ちるところがある。そんなわけで、一部の住民のせいで、ペドロランドもだんだんと住みにくくなってきたのは残念なことだ。 が、やはり海外移住はそれほど簡単なことではない。スペインに移住するイギリスの10人に6人が2年以内にイギリスに戻り住むという統計を耳にしたことがある。これが自然淘汰なら、うれしいのだが。 では、また次号でお会いしましょう。 |